西岡先生 と ホンマでっかTV

気がついたら本を読むのが結構好きだった。両親から「本を読みなさい」と言われたことはないけれど、「本を買って欲しい」というと割とすんなり買ってもらえた記憶はある。気がついたらなんとなく本を読んでいた。今みたいにゲームもスマホもなかったし、娯楽が少なかったのかも、というとすごく古くさく聞こえるようだけど、でも実際そうだった。本を読み始めたきっかけは覚えてないけれど、「物語を読むこと」が大好きになった頃ははっきり覚えている。きっかけは小学校5年生、図書の西岡先生。図書館にいくと西岡先生が自然に本を勧めてくれる。読み終わって返しにいくと、感想を聞いてくれて、つぎの本を勧めてくれる。「大どろぼうホッツェンプロッツ」「長靴下のピッピ」「モモと時間泥棒」「はてしない物語」「ぼくらの七日間戦争」。学校からの帰り道、物語の続きが待ちきれず、歩きながら本を読んでいて電信柱にぶつかったこともある。
この前、ホンマでっかTVで「読書は最大のストレス発散」的なことを言っていた。
そうか!物語に没頭することは、子供ながらにエスケープというかストレスリリースで心地よかったのかも。
ところで、物語は大好きだったのに、読書感想文の宿題は嫌いだった。大嫌いだった。自分で本を選ぶことができても、「感想文を書く用の本」だと、なんとなく読まされている感じがしたし、感想を述べよ、と言われると、なんとなく「正解」を言わないといけない感じがした。そして「正解」がよくわからなかった(今思うと正解なんてないのかもしれないけれど)大人になったいまでは、面白かった本や映画の感想を語り合うことは楽しい。でもそれも、誰かに読まれる前提の感想文としてまとめなさい、と言われたら、一気にテンションは下がりそうだ。
わたしが物語にはまりはじめた小学校5年生。先日、同じ年頃の女の子と話をした。
「本を読むのは嫌い」だと言う。
「活字離れっていうもんね」と思いながら、女の子と1日すごすと、私が大好きだった物語たち、この子もきっと面白いと思うんじゃないかなと思い始めた。物語の世界に入ることって、シンプルに面白い。でもそんな体験を「本を読む」という概念がブロックしてしまっているのではないかな、と。
話はかわって、写真はスキンダイビング。マスク(ゴーグル)とシュノーケルをつけて、ちょこっと潜ったりしながら海の中を散策する。水の中にいるだけで気が付かずに溜まったり、背負っていたいろんなものが抜けるみたいで、スキンダイビングのあとは超メローになる。ただただちょこっと沈んだり、ぷかぷか浮いているだけ。それなのにとにかく満足。まさに「最大のストレス発散」。
小学5年生のわたしは、ただただ物語のなかにぷかぷか浮いている、そんな感じが好きだったのかもしれない。
その本が何かの役にたつとか、感想文を書かなきゃいけないからとか、本を読むと賢くなるから。
そういうことではなくて、ただただ物語にぷかぷか浮く。それが心地がいい。
そんな体験を味わえたら、また一つ好きなことも引き出しが増えたりしないかな。
「本が嫌い」になる前に、子供たちがそれぞれの西岡先生に出会えますように。
西岡先生、ありがとうございます!